FICHET

報告:2013年FICHET年次総会(台北市、2013年6月23日(日)~6月26日(水))

<実施報告>
毎年FICHETが主催している年次総会(The Executive Conference on International and Cross-strait Affairs, 2013)に今年は韓国のKAIEとJAFSAが招聘された。会議に先立って、FICHETのコーディネートによる大学訪問の機会も提供され、全日程を通じて台湾の大学関係者及びKAIEからの出席者と意見交換を行うことができた。以下、大学訪問と年次総会についてそれぞれ報告する。


<大学訪問>
FICHET年次総会に先立ち、6月24日・25日の両日において、東呉大学(Soochou University)、淡江大学(Tamkang University)、逢甲大学(Fengjia Univesity)の3校を訪問した。この大学訪問はFICHETの細やかな配慮のもと計画され、各大学の学生が個別で大学キャンパスを案内したり、ディスカッションの時間を多めに設けるなど、非常に内容の濃いものであった。また、各大学から学長や副学長が自らホストとなるなど、今回の訪問団を非常に尊重していただいた印象をうけた。


淡江大学Flora Chia-I Chang学長(FICHET董事長)と   立命館アジア太平洋大学・近藤祐一氏

淡江大学でのラウンドテーブル


今回の大学訪問では、台湾の高等教育機関の先進性と組織としての効率性を目の当たりにし、KAIEメンバーも含めて台湾の大学に対する先入観を払拭しなければならない結果となった。FICHET年次総会での林文通氏(教育部)の言葉を借りれば、「台湾の持つ最大資源は人材」であり、高等教育は人材育成の要として重視されている。今回訪問した大学においても、それぞれ様々な形で研究力や教育力、組織としての効率性に対する政府による評価を受けており、質の向上にむけて常に厳しい基準にさらされていることが印象的であった。今回訪問した大学はいずれも、そういった政府による評価システムの中で特に優秀な結果を残している。


東呉大学

淡江大学

逢甲大学(図書館内ラーニングコモンズ)


初めに訪問した東呉大学は、教育力評価で台湾トップの評価を得る。教育を重視する姿勢は、学生によるキャンパス案内でもかいま見ることができた。留学生を含め多言語(日・韓・英・中)を話す学生がツアーを組織し、言語別の質疑応答機会も設けられた。こういった海外からの来訪者対応や留学生との交流に対しては積極的な学生が多いとのことである。その秘訣については「各教職員が、異なる文化の人の対話の教育的価値を、機会のあるごとに学生に伝えている」との説明があり、全学を上げて実質的な国際交流を促進している様子がうかがえた。さらに印象的であったのは、外国語専攻に対する卒業要件の高さであり、例えば日本語学科では日本語能力試験1級、英語学科ではTOEFL-iBT80が課されているという。


淡江大学でのラウンドテーブル。手前は立命館アジア  太平洋大学近藤氏(JAFSA派遣団代表)

淡江大学は、台湾でも有数の私立大学であり、政府による評価においても複数部門でトップとなっている他、企業による卒業生評価でも一位を獲得している。1学年400名超という台湾最大の日本語学科を有しており、卒業生の日本語能力からも教育力の高さがうかがえた。FICHET事務局は現在淡江大学の管轄下にあり、淡江大学の学長はFICHET董事長及び東京にある台湾留学センターのセンター長も兼任している。淡江大学は台湾の大学の中でも国際化に対して最も積極的かつ革新的な大学の一つであるといえる。


逢甲大学も有数の私立大学であり、台中に位置する。GPSを使った技術開発において革新的な研究成果を上げている他、オンラインシステム(事務+教育)を独自開発し、全学で使用し業務の効率化を図っていることが印象的であった。また、図書館内にはグループ学習を促進することを意図したカラフルなラーニングコモンズや、居眠りも前提とした休息のためのソファエリアなどが用意されており、学習過程における創造性や自主性を重視する姿勢をかいま見ることができた。語学センター内にも自由な交流スペースの他キッチンエリアもあり、また語学試験で一定の点数を取得すると奨学金がもらえるなど、柔軟な姿勢で学生の語学修得をサポートしている。


<FICHET年次総会>
会議は56校(国立大学、私立大学、科技大学に代表される「技職大学」)から80名の出席があり、ほとんどの大学の国際担当所長が顔をそろえる形であった。これにKAIEから5名、JAFSAから4名、他に日本からFICHETの招待で2名が参加していた。


年次総会オープニング

最初の基調講演では教育部国際及両岸教育司司長林文通氏(筑波大修士課程修了)より台湾の大学の国際化への戦略が説明され、FICHETの創設による窓口の一本化、The Top University Projectという日本のCOEに似た10年計画、台湾の学生の海外派遣及び海外からの学生の受け入れの促進計画について現状とそれに対する対策が話された。台湾では国家予算の多くを教育に投資し、人的資源の開発に努めていると力説していた。次の中原大学教授程萬里氏による基調講演は、林氏の講演の内容をさらに深めたものであった。その中では台湾の教育部が積極的に助成金を利用して大学の研究力・教育力の向上を図っていること、近年特に中国学習者の誘致に動いていることがうかがわれた。

KAIEとJAFSAの発表はそれぞれの国における大学の国際化について台湾の関係者に説明を行うというものであった。韓国からはStudy Korea 2020 Projectについてプレゼンテーションが行われ、2011年までの目標である留学生9万人計画を20年までに20万人に引き上げ、また国内に国際プログラムを設置する事による韓国人学生の外国への留学の抑制、韓国語学習機関の海外展開(12年より16までに倍増)等の施策が紹介された。また、ワンストップ機関であるNIIED(National Institute for International Education)の設置による政府の強力なリーダーシップなどについても言及された。

JAFSAからはこれまでの日本における国際教育交流施策のレビューを行い、過去の施策による変化について成果と課題について分析し、大学の国際化に向けてのミッションの欠如、ガバナンスの脆弱さ、教育・学生プログラムの開発の遅れ等を指摘した。さらに、大学の国際展開力強化事業やグローバル人材育成推進事業についても触れ、日本の大学の新しい国際化プログラムについて言及した。最後に日・韓・台の域内連携を戦略的に推進する必要性と可能性について問題提起を行った。              


<最後に>
すべてのプログラム期間において、朝から晩まですべてのプログラムにおいてKAIE代表団と行動をともにしたことも非常に価値があったことを指摘しておきたい。そのため、台湾の高等教育事情を学ぶ過程において、韓国と日本のそれぞれの観点から意見交換を行うことができた。このことは、韓国・台湾・日本という三角形の交流の醍醐味であり、二国間交流では得られない幅の広い観点と深みを与えることとなったと感じている。

FICHET-KAIE-JAFSAのネットワークの今後の展開については様々な形が考えられるが、あらゆる機会を活用し、関係者間で個人レベルでの信頼関係を築き、オープンなコミュニケーションが行える間柄を保持する努力を続けるべきであると感じた。

報告者: 堀江未来 (立命館大学)  近藤祐一(立命館アジア太平洋大学)


<開催概要>


◆FICHET年次総会◆
日時:2013年6月23日(日)~6月26日(水) ※年次総会は6/26
主催:台湾FICHET
年次総会会場:銘傳大学 基河キャンパス(台北市)
JAFSA派遣団(団体理事大学より):
 [派遣団代表]立命館アジア太平洋大学 入学部部長 近藤祐一
 テンプル大学ジャパンキャンパス 副学長教務担当 Brian Swanland
 同志社大学 国際担当副学長、国際連携推進機構長、文学部文化学科教授 山田 史郎
 立命館大学 国際部副部長/国際教育推進機構准教授 堀江未来
年次総会参加者:台湾教育部、FICHET、台湾の56大学より80名、KAIE派遣団5名、JAFSA派遣団4名、FICHETの招待者2名


大会スケジュール(抜粋)


6月24日(月)AM&PM大学訪問(東呉大学、淡江大学)
6月25日(火)AM&PM大学訪問(逢甲大学)、台北市に移動
6月26日(水)9:30-10:00受付
10:00-10:20Opening Remarks
10:20-12:10基調講演
13:00-14:00プレナリーセッション(JAFSA)
14:00-15:00プレナリーセッション(KAIE)
15:15-17:15セッション
17:15-17:45クロージングセレモニー

JAFSA発表資料


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