NAFSA2017 ロサンゼルス大会

報告:NAFSA2017 年次大会参加報告(九州大学)

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NAFSA2017の「STUDY in JAPANブース(日本合同ブース)」に出展した団体より、
九州大学様に、事前の準備や大会中の活動について、
報告書を執筆していただきました。出展の参考事例としてご覧ください。
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※近畿大学の報告書はこちらです。

※東海大学の報告書はこちらです。


◆STUDY in JAPANブース出展参加報告(九州大学)◆

開催期間:2017年5月28日(日)~6月2日(金)(ブース展示期間は5月30日~6月2日)
場所: 米国ロサンゼルス、Los Angeles Convention Center


-NAFSA2017年次大会概要-


NAFSA年次大会の正式名称は「NAFSA Annual Conference & Expo」であるように、この年次大会は「コンベンション」と「エキスポ」の2重構成となっており、この両者は同じ会場内の別々のスペースで同時進行で開催される。
「コンベンション」は高等教育機関における国際交流の動向や、それにまつわる国レベルまた国際レベルの政策、そして留学生教育や支援に係る情報などの共有の場であり、ワークショップやセミナー、また課題ごとに分けられた様々な勉強会などが、連日朝8:00から夜8: 30まで開催されている。
後者の「エキスポ」は、主に協定締結等を主な目的とした高等教育機関同士のネットワーキングや情報交換、協定や連携に向けた交渉の場として機能しており、各国からの様々な大学機関がブース等を出し、協定締結などを担当する部署のアドミニストレーターなどが、所属校のアンバサダーとして来場し活動を展開する。

今年の開催都市は米国第2の人口を誇り、また米国の教育と文化のハブの一つと言われるロサンゼルス。本年度のテーマは「Expanding Community, Strengthening Connections」という、まさにNAFSAが世界中の国際教育関係者たちに向けたメッセージとビジョンを直接表現したフレーズを掲げていた。
本年度の大会では世界100か国以上の国の教育研究機関から約1万人の関係者が参加したと報告されている。近年の NAFSA年次大会のメイン・イベントのうちの一つと言える基調講演では、2003年にムスリム女性として初のノーベル平和賞を受賞したShirin Ebadi博士をPlenary Speakersの一人として迎えるなど、イベント全体としても格調高く、非常に充実した大会であったと感じた。

-本学の参加への取り組み-

九州大学(以下、本学)は例年NAFSA年次大会に参加しており、JAFSAの効果的な取り纏めとアレンジのもと、"STUDY in JAPAN"セクション内において昨年(2016)は他校と共有の「シェアブース」、今年(2017)は本学のみの「フルブース」を持ってエキスポに臨んだ。また、フルブースには来客対応用の丸テーブルと椅子4脚がパッケージとなって提供されるが、昨年度の経験を活かし椅子を一脚追加した(昨年度はブースへ来客が3人組などで来た場合が多く、椅子が不足する場面が多々あった)。

今年は、本学からは留学生センター教員2名(教授1名と准教授1名)、そして職員1名の計3名で参加した。職員は本学の海外拠点の一つであるカリフォルニア・オフィスに駐在しており、所在地のサンノゼから現地ロサンゼルスに駆けつけた。


エキスポ会場への入り口に並ぶ本学からの参加メンバー

NAFSA年次大会に参加する目的は何か。
昨今の世界の高等教育事情は目まぐるしく変化しており、留学生など海外からの学生の誘致にあたっては「International Market(国際市場)」という表現が広く使われ始めているなど、(研究はもとより)教育は国際化されるのみならず競争と化し、その競争は年々激化している。また、そのような競争化著しい教育の国際化を支援することを目的とした民間企業や財団などの非営利団体の台頭も目覚ましい。そして、外国人留学生のケアや危機管理の必要性など、これらの傾向に起因するチャレンジや検討を要する課題も多々ある。
本学の参加チームとしては、このような環境の中で、前述した「コンベンション」と「エキスポ」の両方をフル活用することが重要である、と考えた。エキスポにおける個別対応のみならず、コンベンションが提供する世界の情報や知識も広く収集して、今後の国際化に備えることが重要であると考えたからである。

コンベンションは1週間、エキスポは4日間という限られた時間の中で、これらの目的を戦略的かつ効率よく達成するために、参加メンバーでの事前の密な打ち合わせを行った。
最も重要な目的として以下の3つを掲げた。

(1)エキスポでフルブースの利点を最大限に活かし、協定締結校のみならず非協定校とも幅広く且つ密な交流を持つこと。
(2)参加メンバー全員が必ず複数のワークショップやセミナーに参加し、国際化・国際交流に係る最新の情報を学び取ってくること。
(3)海外の大学やコンソーシアムから招待されたレセプションなどには極力参加して、ネットワーキングを強化したり、それらのイベントから効果的な海外PRの仕方を学び取ってくること。

これらの目的に向けて、参加メンバーの中で、可能な限りの資料の用意と、その役割分担と参加中の全日程を詳細に取り決めて今回の年次大会に臨んだ。

-本学のブース出展の成果-


本学のフルブース内対応テーブルにて海外協定締結校からの訪問者たちと情報交換

ワークショップやセミナーへの参加、そしてレセプション参加などによるネットワーキングも、参加メンバーそれぞれにとって大変に実りの多い経験であり、勉強の機会となったと感じている。

この報告では、主に(1)のエキスポにおけるブース出展の成果について述べたい。
エキスポに関しては、前述の通り、本学を含め、日本からの参加校はJAFSAの精力的かつ戦略的な取りまとめで、"STUDY in JAPAN"セクションの一部としてフルブース出展をした。
日本のみならず、殆どの参加国は国ごとにその空間と時間の使い方などにおいて一定の取り纏めとアレンジを組んだうえでエキスポに参加をしており、そのレイアウトなどの装飾は年々洗練化そしてショーアップ化が進んでいるように感じる。エキスポ会場内を歩き回り、他国のアレンジ等を横目で見て回るだけでもそれぞれの国際カラーが目に飛び込んできて非常に楽しく勉強になる。

日本の場合は、昨年度と同じく人目を惹く鮮やかなピンク色の豊潤な桜並木の装飾の下、約60団体のブースが整然と並ぶレイアウト。他国からの参加者の目から見て、国としての纏まり、そして国際交流先としての日本のブランドが効果的に可視化されているように感じたはずである。
また、"STUDY in JAPAN"セクションはエキスポ会場内で参加していた各国の中で最大のスペースを使用し、場内でもほぼ中心に位置していたため(JAFSAのお陰です!)、非常に目につきやすく、その存在感も十分にアピールできていたように思う。本学ブースへの来客の数人から「日本チームは豪華ですね。」「すごく目立ちますね。」というコメントを貰い、それを皮切りに実のある打ち合わせや情報交換にスムーズに進んだケースも多々あった。


この様なセッティングの中で、本学は5月30日(火)から6月2日(金)の4日間にわたり、海外の計98校からの代表たちとブース対応を行った。その内約40校が本学の協定締結校(ほとんどが大学間協定)であり、残りは非協定締結校である。
前者の多くは学生間交流(交換留学や短期留学プログラム)に係るこれまでの実績確認や今後に関する情報・意見交換が主な対応内容であった。今後に関する意見交換の際には、この様な個別対応ができるブース・セッティングだからこそ率直に伝えられる懸念や希望などが活発にやり取りされ、また一連の話し合いの後にはお互いの間に親近感や連帯感が生まれるなど、ブース出展の意義と価値を再認識させられる毎日であった。SNSなど情報技術の発展と大衆化が著しい今日の社会状況とは言え、やはり、このように大学間の国際交流にあっては少なくとも年に一回は関係者たちが直接面と向かい合い、挨拶を交わし、情報や意見交換をすることが重要である
後者の場合は将来的な協定締結を視野に入れた情報交換が主たる目的であった。この場合、所属大学の紹介や、こちらから学生を派遣して欲しい短期留学プログラム等の案内が主な内容であった。

協定締結校からの訪問は、米国渡航前にこちらからもしくは先方からアポ取りが済んでいたケースがほとんどであったが、非協定校からの訪問者の場合は、事前のアポは取っておらず、エキスポ会場に立ち寄り、その場で"STUDY in JAPAN"セクションが目に留まり、日本の他の参加大学に加えて本学のブースにも試しに立ち寄ってみた、というケースもかなり多かったように思う。
このように、特にフルブースを構えることで、事前アポなどのない様々な非協定校からの関係者たちが即席的に立ち寄ることができたため、多くの人々や興味深い教育機関などと知り合うことができたのも、その重要な成果の一つである。


本学のフルブース前にて海外協定校からの訪問者たちと

4日間にわたるブース出展を通じて総計98校からの関係者との密な対応は相当な労力を必要とし、予想以上に忙しかったというのが参加メンバー全員の正直な感想である。
一方で、情報交換やネットワーキングにあって、その実りの多さも予想をはるかに上回る成果を得られたエキスポ参加となり、この様な機会を頂けたことに感謝すると共にその充実感と達成感を楽しんでいる。
このような成果を上げることができたのも、「ALL JAPAN」のモットーの下に国際交流先としての日本のブランディングのために精力的に且つ包括的な取り纏めを施してくださったJAFSAのお陰様であることは言うまでもない。同時に本学が、昨年と違い今年はフルブース出展することでエキスポに参画したことも大きな要素のうちの一つであると考えている。


また、JAFSA主催のエキスポ会場内で開催された"STUDY in JAPAN" Reception (5月31日)や、朝日ネット (JAFSA賛助会員) 主催の懇親昼食会(6月2日)にも積極的に参加し、本学のブースやNAFSA年次大会の会場そのものを離れた場でも、有益なネットワーキングや情報交換の場を頂いた。
前者のほうに関しては、韓国や台湾などからのエキスポ参加校もそのプロモーションの一環として類似したイベントを開催していたが、日本のほうは昨年度のレセプションに比べて、来客も目に見えて多く、開催時の高揚感や盛り上がりの様子なども含めて、エキスポ会場内でも他国のレセプションを抑え、ひと際注目を集めたイベントとなったと感じた。
このようなイベントを催すことで、前日や同日に交流を持った非協定締結校からの訪問者達も気軽に誘うことができ、今後の継続的なコミュニケーションのためのアイス・ブレーカーとなった。


-今後の課題と希望-


NAFSA年次大会に足を踏み入れる日本からの参加者の多くが感じることかと思うが、他国からの大会参加校の国際化にかける熱意と積極性はとても強く、またその実現のための取り組みも実に戦略的であり、日本の大学が学ぶべきことが色々発見できる。
詳細な事柄かもしれないが、本学のみならず、日本からの参加校の多く(ほとんど?)は、ブース対応にあってはパンフレットやリーフレットなどの配布資料を事前に海外配送し、エキスポ開始日の前日などにブースに並べ、ブース訪問客に忙しなく手渡したりしている。
一方、こちらのブースへ訪問してくる海外校の関係者たちの多くは、情報交換や交渉に必要なデータを入れたタブレット端末のみで颯爽と現れた。また配布用の資料として、またギフトの一環として、大変完成度の高い大学紹介用のパワーポイント資料などを入れたUSBを手渡してくるなど、労力や資源の使い方にしても効率化されたアプローチが主流になってきているようである。
どうしてUSBを使うのかと尋ねると、ある訪問者は「色々な紙媒体の資料を渡しても、持って帰るのは大変だろうし、データのほうがそちらの大学の関係者にスムーズに共有してもらえるでしょ。」と笑顔で返答した。

また、ブース訪問の際の相談の内容や交渉のプロトコールは事前に戦略的に練られているケースが多く見られた。
協定校からの訪問者であっても、見慣れない顔の場合、こちらとしてはまずは雑談から始めるなど、知り合うためのゆったりとした懇親の時間を持とうとするものである。ところが、次のアポのために1分を争うように忙しなく活動している訪問者なども結構目に付いた(中にはブース訪問は一か所につき10分、と決めているようなところもあったようだ)。このような場合、希望する交換枠(交換留学制度において取り決める派遣学生数)の拡張の要求に対してこちらが即答をしかねていると、代案として迷わず次々に新しい短期留学プログラムの紹介を始め誘致してくるなど、戦略的に交渉してくる訪問者もいた。
これらの効率的で戦略的な動き方の中に、海外校の国際化にかける意気込みを痛感させられ、本学も今後はただブース対応校数などを気に掛けるだけではなく、効率よく対応・交渉に臨むよう備えることが重要であることを体験的に学び取った。
また、コンベンションにおけるワークショップやセミナーでは、本学も含め、どうしても日本の大学のプレゼンスが他国に比べ弱い印象を受けたことは否めない。多くの大学機関ー特に東南アジアのような新興国における大学ーが画期的かつ効果的なコンソーシアム作りなど非常に意欲的に国際連携を行い、国際教育とそれに係る諸問題に取り組み、そのプロセスや成果をNAFSAのような世界最大級の国際舞台で積極的に発信している姿は、今後の日本の大学も大いに見習うべきではないだろうか。
エキスポのみならずコンベンションの部分でもイニシアティブを執り、ますます競争化が進むであろう今後の国際教育の流れの中で、日本の高等教育機関のプレゼンスを向上させるための一助となるべく、その道を模索していきたいと感じた。


報告者:肥後 裕輝(九州大学 留学生センター教授)




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