NAFSA2018 フィラデルフィア大会

報告:NAFSA2018 年次大会参加報告(筑波大学)

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NAFSA2018の「STUDY in JAPANブース(日本合同ブース)」に出展した団体より、
筑波大学様に、事前の準備や大会中の活動について、
報告書を執筆していただきました。出展の参考事例としてご覧ください。
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※青山学院大学の報告書はこちらです。

※岡山大学の報告書はこちらです。


◆STUDY in JAPANブース出展参加報告(筑波大学)◆

開催期間:2018年5月27日(日)~6月1日(金)(ブース展示期間は5月29日~6月1日)
場所: 米国フィラデルフィア、Pennsylvania Convention Center


ブース訪問者に対する本学PR

筑波大学は、昨年に続き、JAFSAのプロデュースによる鮮やかな桜並木の装飾に囲まれたSTUDY in JAPANブース(51機関からなる日本合同ブース)に今年も出展する機会に恵まれた。古くは独立宣言が行われたアメリカ建国の地として、そして近年では映画『ロッキー』の舞台として知られるこの町で開催されたNAFSAに、今年も100を超える国から約10,000名の国際高等教育関係者が集結した。町の数ブロックを跨ぐ広さを誇る会場は、ブース展示会場とセッション会場とで構成され、ブースは300以上そしてセッションも200以上もうけられ、正に盛会となった。筑波大学からも、国際室・北米地域担当教員1名、国際広報の経験豊富な国際室係長1名、そしてグローバル・コモンズ機構から一般職員1名が、胸を躍らせながら参加した。


NAFSA参加の目的


まずNAFSAとは、一言でいうと、米国を中心とした世界最大規模の大学の国際化の最新動向と高等教育機関の国際担当者のネットワーキングをテーマとしたショーケースである。留学に関心のある学生に対し、直接留学に関する情報を提供することを主目的とするいわゆる現地留学フェアとは異なる。したがって参加者も、各大学の国際関係業務担当者や留学プロモーション等を行っている企業の担当者がその多くを占める。

全世界から集まるNAFSA参加者の目的は、特に大学の国際関係業務担当者に限定すると
1.パートナー大学との直接意見交換
2.セッション参加による米国を中心とした大学の国際化の最新動向発表・情報収集
3.海外パートナー大学の新規開拓

が主と考えられるが、筑波大学もその例に漏れない。


事前準備:データ分析、方針の確認、ブース対応など


NAFSA主催者側では、公式サイト上で出席者の所属・職名・氏名をデータベース化して公開することで、会期前からあらかじめ意中の機関の参加者を調べ事前のアポイントメント取得などをしやすくしている。筑波大学の場合、事前準備として、参加者3名および国際室・北米地域担当職員の計4名が、まず上記のデータを学内データと参照し関係者と意見を交えながら、事前に面談の申し入れがあった大学と主要協定校に関する交流実績や参加者の所属・役職などのデータを共有したうえで方向性を分析し協議した。英文資料の入手や海外の大学とのアポイントメントをめぐる実務に関しては、英語圏出身で博士号も持つ北米地域担当職員が大きな原動力となった。

方針としては、先に紹介した3つの目的をバランスよく実施するために、事前に設定したアポイントメント数が過剰となり現場での活動が受動的になり過ぎた前年度の反省を踏まえ、今年度は事前のアポイントメント数を抑え、時間を区切って東京大学とのシェアブースとしてStudy in Japanブースエリア内に筑波大学ブースを出展することとした。単独のブースだと全会期中ブースに人員を配置することを考えねばならないが、今回ブースを閉めている時間ができたことにより、ブースを閉じている時間を他国ブース訪問・視察やセッションに出席してより能動的に活動を展開できたため、精神的にもより開放感を持ち・よりエネルギッシュに大会に臨むことができた。また、費用対効果という面においても、出展料を抑えることができたため、シェアブースは非常に有効であった。


本学のブース

ブースの設営・ブース対応衣装(例、はっぴ着用)・グッズ・展示資料などについては、過去のStudy in Japanフェアでの経験をもとに、来訪者を引き付けやすいよう外国人から見た日本を意識して工夫(例、本学教員がコンピューターでデザインした3D折り紙の実演など)した。アポイントメントのある面談に重点が置かれ不特定多数の来訪者に対するプロモーションの準備が手薄なブースが多かったなか、本学は一定の存在感を示すことができたと思われる。実務的には、国際広報の経験を持つ職員と学生教職員交流に携わる職員が違った角度からアイディアを出し合い、総合的な視点から対策を練ったうえで入念に準備できたことが大きい。

現地での活動:ブース出展、ブース訪問、セッション参加など


結論から言うと、4日間で合計96機関とネットワーキングの機会を持つことができた。パートナー大学との直接意見交換については、事前にアポイントメントを取って案件を絞ってブース面談で掘り下げるにも、パートナー大学の参加者とこちらの参加者側の担当領域が一致しているとは限らないことや、お互いに多数のパートナーと意見交換を行うため時間も限られており、深い議論を行うのがなかなか難しいことが再認識された。また、受動的に待っていてもアポイントメント通り現れない海外機関さえあった。そのなか、今回アポイントメント数を抑えブースも出展が目立つように工夫しながらも時間はシェア(大学間時間交代制に)し、逆ブース訪問・セッション・海外機関主催パーティー参加などを通じて能動的にアクションを起こすことで、ネットワーキングの効率を上げる結果を生むことができた。これは、JAFSAがより多くの日本の高等教育機関が参加しやすいようブース出展形態を柔軟に取り計らってくれたことに負うところが大きい。

なぜならば、既出のようなブースを離れての能動的ネットワーキングを展開するにも、自らのホームブースという「空母」があってこそ相手機関にとっても(実際にそして大会資料の上でも)「見える」ターゲットとして信用を得ることができたからだ。もちろん、本学が世界13か所に海外拠点を持ち地域に根付いた拠点活動で一定の知名度と人脈が既に築かれていることや、本学の参加者が留学経験者で北欧・北米・アジア等の地域の機関や文化に精通していたことも、プラスに働き、国・地域別に区分されていたNAFSA会場をいわば「空襲」することができたとも言える。


パートナー大学との打合せ

ほかにもブース出展のメリットとして、既出のように美しい桜が飾られたStudy in Japanブースの一画に入れるため、オールジャパンの統一感あるプロモーションができること(例、Japanese Culture Hour)や日本に関心があるが情報が少ない参加者が足を向けやすくなることなどがある。そのうえで、来訪者はそれぞれの日本の大学のブースで比較検討ができ、より理解を深めることができる。出展側としては、ブースをミーティングの場として自由に活用できる(会場にはほかに座って話せる場所がない)といった利点もあり、出展料がかかるとはいえ、総合的に考えてNAFSAに高等教育機関として参加するのであればブース出展したほうが有利であるのは間違いない。

ブース出展で特筆すべき点として、今年度はJapan SIG (NAFSAの日本部会)より現地高校生支援プログラムCommunity Outreach Initiative(COI)の一環として、日本に関心のあるフィラデルフィア近郊在住の米国人高校生30名程が日本ブースを訪問したことだ。留学フェアではないとはいえ、大学側としても日本に興味を持ってくれている学生と直接話ができるというという点だけでも説明に力が入り、米国人高校生にとっても日本から51もの機関が集まって担当者から直接情報を得られるというのは、貴重な機会であったと思われる。


現地高校生による本学ブース訪問

高校生への本学の説明

国際高等教育の最新動向についての情報収集については、何よりも積極的にセッションに参加することがやはり生産的であった。セッションの時間は限られており、各事例の紹介程度に留まるとはいえ、米国を中心とした海外の動きを直接学ぶことができる非常に良い機会となった。例を挙げると、米国においては、大学のDiversity & Inclusion(D & I)が大きなトレンドとなっており、多くの関連セッションが設けられていた。また、米国の学生の留学トレンドとしては、アジア・オセアニアなど学生が留学先に選ぶ国は多様化する傾向にあることや、米国の学生が日本留学の情報をどこで手に入れるか、また米国の大学が学生に提供する日本留学の情報をどのように入手しているかといった、日本国内ではなかなかない情報を手に入れることができた。

ちなみに、これらのセッションは、(元米国大統領夫人を含む)発表者による講義形式のものから国際高等教育の権威によるパネルディスカッションやテーマ別に円卓を囲み出席者が討論する参加型のものまでバラエティーに富んだものであった。テーマも、既出の留学生の派遣受け入れ・D & Iのほか、大学間連携や産学連携等など、多岐に渡るものであった。一概には言えないのかもしれないが、講義やパネルディスカッションは情報収集に適しており、参加型円卓ワークショップは情報収集というよりは情報共有とネットワーキングに適していると言える。心理的そして語学的負担という意味においては、後者の参加型の方が遥かに大きいためか、日本人参加者は僅か(例、D & I関連では日本からの参加は1機関のみ)であったが、その反面・海外からの日本の高等教育への関心の意外な大きさや新しい人間関係が肌で感じられ、達成感もより大きく感じられた。

新規パートナー校の開拓にあたっては、既出のブース出展とブース時間外セッションへの参加のほかに、レセプションやパーティーへの出席が非協定締結機関とネットワーキングする貴重な機会となった。海外のいわゆる主要大学は、NAFSAに参加してもブース出展しないケースも多く、日本の非協定締結機関がフェイス・トゥ・フェイスで面談するにもセッションで一緒にならない限り、会場内にホームブースを持たないそれらの大学の存在自体が見えづらいためだ。各国機関がNAFSA会場近隣で夜主催するこれらのレセプションやパーティーは、数十名規模で入場から入場後の飲食まで全て無料のものから、数百名規模で入場のみ無料で入場後の飲食は有料のものまであった。とくに事前登録や記帳が必要だという固いものでもなく、日中の活動中に個別の主催者から招待状や招待ステッカー等をもらい参加するのだが、同様に招かれている非協定締結機関の関係者とは招かれた者同士すんなり意気投合するケースも多く、意外な「お見合い」の機会を得ることができた。あるブラジルの機関からは、筑波大学が展開する南米コーディネーター事業における協働の可能性について働きかけられ、帰国後・海外拠点関係者との情報共有を経て、次の月にはブラジルで開催予定であった日本祭りへ向けてスピーディーに始動したという稀な事例へとも繋げることができた。


結びに代えて


ブース打合せの様子

現地での活動のフォローアップとして、一日の終わりには「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、当日面談した数多くの機関の担当者の名刺(写真で共有)と面談内容を同僚間で共有し対応方法について話し合った。また、最終日に至っては、コメントを寄せ合いながら今後の対応へ向けて総括した。贅沢な悩みかもしれないが、事前のアポイントメント数を抑えシェアブース出展時間を交代制とすることにより能動的な活動も精力的に行った結果、既出のように接触機関数は合計96にも上り、帰国後フォローに追われることとなった。これは今回の戦略のデメリットと見ることもできるのかもしれないが、期間中にはフォローできる相手担当者もいなかったことや時間もなかったことを考えると、ネットワーキングの機会を最大化するメリットをもたらしたという方が的を得ていると言える。とくに私たち参加者にとっては、何よりも主体性を持って活動し国際高等教育界のメジャーなプレイヤーたちの活動を肌で感じることができたことは大きなメリットであり今後の財産となった。最後に、NAFSAは、世界中の10,000名を超える大学関係者が一同に集う貴重な機会である。あらかじめ目的を明確にしておき、目的に沿って積極的にネットワークを広げることと出席するセッションを選択し情報を収集することがとくに重要であることを伝え、結びに代えさせていただきたい。


報告者: 木野内聡(国際室担当係長)、伊藤友樹(グローバル・コモンズ機構一般職員)、
         木島譲次(国際室特命教授) /  筑波大学  




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