実施報告

報告:JAFSAウィンターセミナー セッション報告/国内参加者(2010年12月9-11日)

<開催データ>


JAFSAウィンター・セミナー2010 ワークショップ部会

「JAFSAウィンター・セミナー2010」が2010年12月9日(木) - 11日(土)の間、国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されました。中日の10日はセンター棟研修室にて、4名の講師によるワークショップ部会が行われました。以下、各セッション参加者の報告レポートです。
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● A) Internationalization of the Curriculum/カリキュラムの国際化(使用言語:英語)
講師:ジョージ・R・ハラダ(広島経済大学 教授・国際交流室長/JAFSA副会長)
参加者数:8名(日本:1名(ゲスト2名)、台湾:2名、韓国:3名)

本分科会のテーマは、「Internationalization of the Curriculum」であった。これは大学の国際化は単に数(派遣/受入留学生人数、言語系授業単位数など)を増やすだけではなく、教育内容や教育システムをどのように国際化していくか、いわゆる質を問題意識として議論した分科会であった。

初めに、参加者からそれぞれの国や大学(主に台湾、韓国)のカリキュラム国際化について事例報告を受け、ファシリテーターである広島経済大学ジョージ・ハラダ教授からカリキュラム国際化への方法論を学び、それぞれ議論した。最後には、参加者全員で「大学カリキュラムの国際化」に向けて提言(Action Plan)を議論し分科会を終えた。

各大学の事例報告とジョージ・ハラダ教授よる方法論の要旨は以下のとおりである:
Ming Chuan University (Taiwan)はAmerican University in Asiaをめざし米国のMiddle State Commission on Higher Education(大学認可団体)から認可(accreditation)されている。認可までの詳細を報告するとともに、今後認可継続のために各学部に米国大学基準のカリキュラムや開講科目を増やしていく予定であることを説明した。
Fu Jen Catholic University (Taiwan)は大学院(修士課程:Global Entrepreneurship and Management)で3重学位留学プログラム(Tri-degree program)を実施しておりその詳細を説明した。課程在籍中に同大学以外に2大学に留学し3つの学位取得が可能である。在学中に年間30人(人数確認必要あり)ほど派遣している。
Dongguk University と Ewha Womans University (Korea)は毎年英語開講科目を増やす一方で、卒業単位中のうち12単位(Ewha)、8−11単位(Dongguk)は英語開講科目を受講することを学部生の卒業要件としている。また、2007 年以降に雇用した教員は必ず英語開講科目を1科目担当することを前提に採用している(Dongguk University)。
International Christian University (Japan)は帰国子女と一般日本人大学生が同じ授業を受講することが多いため、言語レベルが違うことで授業の理解度が異ならないように、シラバスの明確化や授業前にレクチャーノート配布することを教員に義務づけていることなど、授業内の工夫を報告した。
ジョージ・ハラダのカリキュラム国際化への方法論はミクロレベル(個人からのボトムアップアプーローチ)からマクロレベル(大学のトップのリーダーシップや国の政策など)まで多岐にわたって行動していけることの説明を受けた。これらは1つの方法だけを用いるのではなく多面的なアプローチによってより実現していけることを強調した。

セッション風景




最後の「大学カリキュラムの国際化」に向けての提言(Action Plan)を議論するにあたって感じたことは、各大学の現状によって「大学カリキュラムの国際化」に向けての問題意識、行動は異なり、一概にはいえないことであった。また、実現することへのメリットやそれに向けての困難や障害が各国の担当者と議論することで、それらがより明確になったと感じる。今回のように日本以外の大学の担当者と議論できたことは、今までにない貴重な経験だった。このセミナーを企画、実施していただいた
JAFSA関係者には心から感謝したい。

報告者:星野 晶成(関西外国語大学)



● B) Out-bound Short-term Programs Development
--Study Abroad Programs Development for Students/
短期送り出しプログラムの開発-学生への海外留学動機付けプログラム(使用言語:英語)

講師:堀江 未来 (立命館大学 国際教育推進機構 准教授)
参加者数:11名(日本:5名、韓国:3名、台湾:3名)

〔ワークショップ内容〕
今回のワークショップ:グループBでは「短期送り出しプログラムの開発」をテーマに、堀江先生から内向き志向が強まる日本の大学生の現状や海外送り出しプログラムの目的などについて解説を受けた後、新たな送り出しプログラム提案のためのグループワークを行った。
堀江先生からの解説において、内向き志向が強まる日本の大学生っと、グローバル化の進む社会(企業)が求めている人材にギャップが生じつつあり、今後の海外送り出しプログラムの開発にあたっては、このギャップを意識し、キャリア教育やリーダーシップ教育を視野に入れたプログラムとする必要があると提案されていた点が非常に印象に残った。所属大学における新たな海外プログラム開発にも、この点を十分意識し取り入れていくと共に、学生にも海外プログラムへの参加の利点がわかりやすく伝わるよう工夫していきたいと思う。

グループワークでは、3つのグループに分かれ、台湾、韓国、日本の大学生が参加する新しいプログラムの提案・発表を行った。自分が所属するグループでは、?他国・他文化の学生との協働?主体性・リーダーシップの育成?共通語としての英語使用等をプログラムの目的として、3カ国の学生が第4カ国目のアジアの国(タイ・マレーシアなど)に集い、4カ国の学生が「エコ」をテーマにボランティア活動など共同作業を行うプログラムの提案を行った。他グループは、年度ごと、あるいは同一年度にそれぞれの国を訪問し、研修や共同作業を行うプログラムの提案などを行った。

セッション風景



今回の研修を通じ、韓国、台湾、日本の大学の方々といろいろな意見、情報を交換することができた。特に韓国の大学の学生派遣に対する積極的な姿勢や、協定締結手順やスピードが非常に印象に残った。今後は今回の研修で得た知識・アイデアおよびネットワークを活かし、新たな海外送り出しプログラムの開発を行いたいと思う。

最後に、大学の国際交流を推進する上において、大変有効となる知識・アイデア・ネットワークを得る機会を提供して下さった講師、スタッフ、参加者(KAIE・FICHET・JAFSA)の皆様に感謝したい。

報告者:菱田 圭祐(名城大学)



● C) 大学の国際広報とネットワーキング/International Public Relations and Networking for Universities(使用言語:日本語)
講師:近藤 祐一(立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部 教授)
参加者数:6名(日本:5名、韓国:1名、台湾:0名)


このワークショップは、国際広報を考えるための枠組みを学び、大学等の広報誌やウェブサイトを分析し、国際広報プランニングやプレゼンの作業を通して、知識を深めるという内容のものであった。

国際広報の重要なポイントは、先ず、何のための広報か、誰に対する広報か、を考え、そのゴールを定め、広報戦略を立てることである。
具体的には、大学の広報誌を見て、受け手はそれを読むのか、見るのか、サイズは適当かを考える。マスメディア(テレビ、ラジオ、新聞・雑誌)は、国ごとにどの広報媒体を使うか、更にどのように使うかを考えることが肝要である。ウェブサイトの設計については、ターゲットとしている相手が読むのか、見るのか、を考えること。ウェブサイトで確実に結果を得、国際学生の歩留まり率を高めることができる方法として、オンライン申請とその後の1対1のフォローがある。

人的ネットワークも重要である。国際教育交流は人によって繋がっている。NAFSAやEAIEへは3年続けていくと人的ネットワークができるそうである。しかし、4年目で異動となり、その後の継続がなければ惜しい話である。長年、国際教育交流を専門として勤務できればノウハウも蓄積できる。
大学間ネットワークについては、二大学間の場合、相手次第で評価が変わるため、ネームバリューの高揚のために相手を選ぶことも大事である。コンソーシアム(アライアンス)の場合も、自分よりランクが上でないとメリットがない。大学間ネットワークを職員の交流・教育・訓練に利用することも有意義である。

セッション風景



最後に、自分の大学の何を売るのか、また、何が売れるのか、を考えることが必須である。今回のワークショップではSWOT分析を用いた。自分の大学で売れるのは、教育プログラムなのか、研究プログラムなのか、或いは教員や学生なのかを考え、他大学と差別化できるものを探す必要がある。日本の大学の印刷物やウェブサイトには個性がない。すべてを網羅して綺麗に並べてあるだけである。これでは生き残れない。「お宝」に気づき、分析し、その結果を学内で共有する必要がある。その上で広報内容の取捨選択をすることが重要である。

このワークショップを通して、自分の大学について客観的に且つ多面的に考える時間が持てたことは大変有意義であった。また、今回は、韓国や台湾の国際教育団体からの参加もあり、お陰で刺激を受けることができ、大変感謝している。

報告者:喜佐田 智子(熊本学園大学)



● D) 中小規模大学の国際化戦略/Internationalization Strategies for Small to Medium-sized Universities(使用言語:日本語)
講師:尾中 夏美(岩手大学 国際交流センター 准教授)
参加者数:8名(日本:7名、韓国:1名、台湾:0名)

中小規模の大学がかかえる国際交流事業の問題に対し、どのように対応していくか。日々の業務の中で直面する問題は、大学の規模にかかわりなく起こり得る。時に我々は問題(困難)の多さに圧倒されてしまい、解決は不可能と思い込んでしまうことすらある。
そこで、様々な要因が絡みあった問題の本質を、冷静かつ的確に把握し、分析することで“何をすべきか”。解決の道筋を立てるため、S.W.O.T分析(Strength Weakness Opportunity Threat)により、国際化を具体的に展開する手段の検討をおこなった。



その分析・検討の主な結果として、「地域で組織する“大学間又は産学官などコンソーシアム”および“行政など団体組織”との協同による国際化の展開」のキーワードを導き出した。
第一に、地方自治体あるいはNPO法人などと日本人学生・外国人留学生を大学がコーディネートし、地元の人々との交流事業がある。これは、大学に大きな財政的負担はなく、学生の交通費を支援する程度で実現することが可能と考える。

セッション風景



第二に、大学間で国際化事業を共同企画・実施し、学生交流と共に海外派遣の仕組みを構築することである。大学間でプログラムをアレンジすることは、多大な労力が予想できるが、充実したプログラムを安定して学生に提供するという、大きなメリットがある。
いずれも、人員的・財源的な理由などから1つの大学で実施することが困難であっても、組織・団体で取り組むことで実現することが可能となる。

国際交流に限ったことではないが、時に他の部局から「大学の国際化を考えることや、留学生の支援は我々の仕事ではなく、そちらの仕事である」という態度をとられることがある。当然、正しいこととは言えない。

大学が掲げる目標に対し、よりよい成果をあげるためには、目標に向けた議論を全学で共有し、理解者を増やしていくことが、最も重要であることを提言してディスカッションを終えた。

報告者:品田 実花(藤女子大学)
加藤 和輝(広島国際大学)




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