報告:初任者研修 「国際教育交流概論」(2011年5月27日、東京)
今回の研修では、国際教育交流に関して、その必要性やその根底に流れるものをミクロ・マクロ双方の視点から改めて感じ取るとともに、国際教育交流に関する政策動向や学生の派遣留学プログラムの開発と運営、そして留学生へのカウンセリング等に関する各種事例等を通じ、国際教育交流実務に関する基礎的な知識について幅広く学習することができた。また、今回の研修には国立私立問わず様々な大学から参加者が集まり、参加者同士の交流を通じて、たくさんの人と情報のネットワーク拡大を図ることもできた。
印象に残ったポイントとしては、堀江先生の講義で学んだ「多様な価値観や考え方、行動様式に触れ、その経験について深く考える機会が大学生の成長を助けること(異文化体験を通じてこの成長は増幅される)」、小林先生から講義終了義に伺った「あくまでも学生のレベル・ニーズに沿った留学交流プログラムを作ることが大切。学生に一歩でも近づく行動をすること」、山田先生の講義で紹介のあった早稲田大学の留学終了後の学生サポート(.留学フォトコンテストの実施など)が挙げられる。
また、実は、私自身は国際業務を始めて5年目ということで、この研修の主な参加対象である「初任者」のカテゴリーに入るわけではないのだが、今回この研修に参加させていただいた目的のひとつに、この度の東日本大震災により各大学における国際教育の現場でどんな問題が生じているか、また今後の影響や対策等に関する情報を交換したいということもあった。その観点においても、今回の研修において多くのことを学ぶことができた。
特に、高野先生の留学生へのカウンセリングの講義では、被災県である本学の現状について紹介もさせていただいたが、私自身も被災県民としてこれから残していくべきこと、伝えるべきことについても改めて考え直す機会となった。世界でも有数の地震頻発国である日本にとって、地震や津波と向き合うことはどこにいても避けて通ることはできないといえる。今回の災害はたまたま東北を中心とした東日本地域で起きたけれど、次にいつどこで同じようなことが起きてもおかしくはない。一方で、過去の災害において、人々はその惨禍を文字や伝承として後世に伝えようとし、その言い伝えを守ったところでは、今回被害が最小限に止まった地域も少なくない。よく言われることだが、今後どんなに科学技術が発達したとしても、災害からのリスクを完全に無くすことはできないだろう。でも、過去から学び、学んだことを未来のためにしっかり残してことで、少なくとも減災に対する貢献はできるはずだ。
今回の研修において、国際教育の原点は、幾度となく繰り広げられる戦争を通じ、平和への強い渇望から生まれた、ということについても学んだ。戦争や災害からの苦しみを少しでも減らし、恒久的な平和の実現や持続可能な社会づくりに貢献するためにも、国際教育交流を発展させていくことは今後ますます大切となっていくだろう。被災県民として、今回災害を免れることができた我々は、復興に全力を尽くすことはもとより、震災時の実状やその時に顕在化した様々な課題をしっかりと受け止め、そしてその生の声を国内外問わず周囲や後世にしっかりと伝え、社会全体の平和や持続可能な社会作りに貢献し続けていくことが使命なのだと思う。それらの作業に、直接的にも間接的にも関わることのできる大学という場所で、その中でも国際関係の仕事をさせていただいていることに改めて感謝したいし、今回の研修を通じて、この現場をより良いものにしていきたいと、決意を新たにすることができた。
最後に、このような大変有意義な機会を提供してくださった講師のみなさん、JAFSAスタッフのみなさん、そして参加者のみなさんに心から感謝したい。
報告者:石沢友紀(岩手大学)
<開催データ>
初任者研修 - 国際教育交流概論 -
日 時:2011年5月28日(金)
場 所:早稲田大学 早稲田キャンパス
参加者:28名
(参加者所属機関:会津大学、岩手大学、追手門学院大学、桜美林大学、沖縄キリスト教学院大学、学習院大学、九州工業大学、金城学院大学宮崎大学、熊本学園大学、高知工科大学、国士舘大学、西南学院大学、大学コンソ―シアムひょうご神戸、千葉工業大学、東京大学、東京家政大学、東京女子大学、東京電機大学、東洋英和女学院大学、名古屋大学、名古屋工業大学、南山大学、日本学生支援機構、広島大学、明治大学、山梨大学、立正大学、立命館大学、龍谷大学、早稲田大学)
講 師:(講義順、敬称略)
堀江未来(立命館大学 国際教育推進機構 准教授)
小林 明(明治大学 国際日本学部 特任教授)
山田 英貴(早稲田大学 国際部国際教育企画課 兼 留学センター)
高野 靖子(東京大学 法学政治学研究科・法学部 留学生担当)
研修内容:
-オリエンテーション
-「国際教育交流概論:学生の成長から政策動向まで」
-「大学における国際教育交流業務」
-「派遣留学プログラムの開発と運営」
-「外国人留学生へのカウンセリング」
- 全体討議
- 情報交換会


