過去の実施報告

報告:多文化間メンタルヘルス研究会(2011年1月29日、東京)

JAFSA多文化間メンタルヘルス研究会開催報告
「多文化的視点からみた発達障害」


実施概要


日 時: 2011年1月29日14:00-17:30
会 場: 明治学院大学白金キャンパス 本館1253教室
講 師: 藤井 茂樹 氏 (独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)
参加者: 59名


実施報告


 本研究会では、留学生のメンタルヘルスに係るさまざまな問題を検討してきたが、実は発達障害が疑われるケースがあり、留学生担当者にも、発達障害を理解し具体的支援のためのスキルを身につけることが求められている。
 そこで、今回は特別支援教育推進のため政策的課題や教育現場のニーズに対応する研究活動、指導的な教職員への専門的な研修の実施等を行っている国立特別支援教育総合研究所から、教育相談部総括研究員 藤井茂樹氏をお迎えし、研究会を開催した。藤井氏は、長年にわたり発達障害児者とその家族の支援、並びに障害のある人が生涯にわたって一貫した支援が受けられる支援体制の構築に取り組んでこられた。
 第1部では、(1)発達障害の基礎的知識、(2)文化的視点からみた発達障害の問題、(3)留学生担当者への示唆などについての講演の後、質疑応答が行われた。
 発達障害には、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症・アスペルガー症候群などその態様はさまざまであり、行動への現れ方も千差万別であるが、他者の視点に立って考えることが苦手で言葉を字義通りに解釈しがち(空気が読めない)などの困難を有することは共通している。このため他者とのコミュニケーションがうまく取れず、その結果多くの場合は二次障害(自尊心の低下や無力感から引きこもりや抑うつ、様々な衝動的・攻撃的行動など)を抱えることになる。
したがって、発達障害を抱える留学生への対応で重要なのは、対人関係(コミュニケーション)、場の理解、日本文化の理解の「通訳」としての視点である。すなわち、留学生にとって複雑すぎる環境を、意味が把握できるよう留学生担当者が「構造化」する手助けをしてやることだと考えられる。
 第2部では、井上孝代代表(明治学院大学心理学部長)の進行で、藤井氏と参加者より事例報告があった後、自己紹介を兼ねて、参加者全員からそれぞれの職場での現状につき、活発な意見交換があった。
留学生だけでなく海外に生活する日本人学生も含めて、多文化間のメンタルへルスの課題は今後更に重要になる。学内外の関連組織なども含めたネットワークを構築することが重要であるという共通認識を得た。なお、研究会終了後、藤井氏を囲んでの情報交換会がアットホームな雰囲気で行われた。



※本研究会に関心のある方は
大橋敏子氏(京都大学)
までご連絡ください。

報告者:岡村 光浩(神戸芸術工科大学)




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