実施報告

報告:大学行政管理学会共催 KAIE交流プログラム(2013年11月27日 東京、11月29日 大阪)

KAIE(カイエ、Korean Association of International Educators)」は、韓国の国際教育交流団体で、1998年に設立されました。近年目覚しい発展を遂げ、海外でのプレゼンスもますます大きくなっています。
JAFSAとは設立以来交流があり、毎年2月頃に開催される年次大会にはJAFSA訪問団を派遣しています。
(KAIE公式HP) 
(KAIEについてのご紹介、JAFSA HPより) 

今年度は、大学行政管理学会と共催でKAIEよりゲストを招き、東京と大阪で日韓交流プログラムを実施いたしました。
東京・大阪とも、日韓の高等教育をめぐる政策や大学レベルのグローバル化事情等について、熱心な情報交換、討議が行われました。詳しくは以下の報告をご覧ください。


1.開催概要(東京)
2.報告(東京)
3.開催概要(大阪)
4.報告(大阪)


「国境を越えた国際人材育成:大学の国際化を日韓共同で考える」
-Developing the Global Human Resources across the National Border:
Japan-Korea Dialogue for the Internationalization of Universities-

主 催:特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)
共 催:大学行政管理学会(JUAM)
日 時:2013年11月27日(水)
会場協力:国際基督教大学(JAFSA団体理事大学)
参加者数:24名


セミナースケジュール:
●開会挨拶 日比谷潤子氏/国際基督教大学 学長、JAFSA団体理事
●KAIE訪問団代表挨拶 Mr.Jaekyu Chun/Manager, Office of International Affairs, Hallym University
●Keynote speech by JAFSA
      “The Internationalization of Japanese Universities”
      隅田 英子氏 / 慶應義塾大学(JAFSA団体理事大学) 国際連携推進室 事務長、
      塾監局学生部事務次長(国際担当)、慶應義塾 塾長室(企画担当)
●Keynote speech by KAIE
      “Study Korea 2020 Project”
       Mr. Bruce K. Lee /Director of Administration, Graduate School of
      International Studies, Yonsei University
●Joint discussion
       “Challenges and collaboration: sharing the challenges and
      the development of cross-organization staff development
       for international educators”
      ファシリテータ:近藤祐一氏/立命館アジア太平洋大学(JAFSA団体理事大学)入学部部長
●Closing discussion
●Closing ceremony


講演資料:
【注意】本資料は閲覧のみです。印刷はできません。著作権は各発表者にあります。無断転載・転用はご遠慮ください。
★ 隅田 英子氏 (慶應義塾大学)講演資料
★ Bruce K. Lee氏 (Yonsei University)講演資料


Joint discussionの様子


「国境を越えた国際人材育成:大学の国際化を日韓共同で考える」

報告者:五所 恵実子(東京大学)

 秋が深まる中、JAFSAと大学行政管理学会の共催でKAIE (Korean Association of
International Educators)」より5名のゲストを招きセミナーが開催された。

 当日は、JAFSA団体理事校であり会場校ともなった国際基督教大学(ICU)の日比谷潤子学長とKAIE訪問団代表である翰林大学のJaekyu Chun氏のご挨拶に続き、慶應義塾大学の隅田英子氏による”The Internationalization of Japanese Universities”及び延世大学のBruce Lee氏による”Study Korea 2020 Project”のKeynote Speechがあり、日本と韓国の大学がそれぞれの国の留学政策との関係でどのように工夫し、また苦労しながらキャンパスの国際化を進めているか相違と共通点を知ることが出来、大変興味深かった。中でも、慶應義塾大学が作成した美しい広報用の大学紹介CMは宣伝媒体としてとても新鮮だった。また、韓国の仁川国際空港から30分の距離にある松島(Free Economic Zone)グローバルキャンパスでは、延世大学やニューヨーク州立大学がキャンパスをオープンし、半径500キロメートル以内でアジアの国々から日帰りで講義をすることが可能という壮大な構想に驚くと同時に、日本でもこの位大きな計画が欲しいと思った。

 講演後は、コーヒーブレイクを挟んで参加者全員が5つのグループに分かれてディスカッションを行った。各グループ内での自己紹介後、キャンパスの国際化における問題点について議論し最後にグループ毎に内容を発表したが、情報や意見を全員でシェアする機会となり大変有意義であった。私のグループにはこのセミナーに日帰りで福島から参加された方がおられ、その熱意に感銘を受けたこともさることながら、最初から最後まで英語漬けの半日はかなり久しぶりで、日比谷学長、Jaekyu Chun氏、講演者のお二人、そして参加者の皆さんの流暢で中味の濃い英語力に大いに刺激を受けた。また、セミナー終了後の懇談会を含め参加者全員が互いに知り合い易い雰囲気があり、このぐらいの規模の集まりもとても意味があると感じた。

 隅田氏とLee氏の講演は両国が直面している現状と課題を考える上で大変タイムリーでいろいろ考えさせられ、また、韓国の次世代担当者の躍進には目を見張るものがあった。教員だけでなくスタッフも米国大学の学士号取得者を雇用することで韓国は日本の倍のスピードで国際化に邁進しているとの印象を受けた。1998年に設立された韓国の国際教育交流団体であるKAIE(カイエ)とJAFSAの交流はこの15年間続いており、特に今回KAIEの組織としての成長を直接目の当たりにして少なからずショックを受けた。そして、この10年余り日常の業務に追われ、今、世界が、日韓が、国際教育交流で何が必要とされ、私達は何を目指しているのか、何のために国際教育交流担当スタッフとして大学に勤務しこの仕事を続けているのか、自分自身を振り返り大切な原点を見直す機会となった。久しぶりにJAFSAとKAIEの旧知のメンバーに再会し、嬉しさと共に、今後JAFSAもKAIE同様に若手世代の育成が課題となる時期に入ったことを実感した。

 JAFSA副会長の小林明氏の言葉、”Institutional”, ”National”, ”International”レベルで大学の国際教育交流担当者が今後の大学教育に関わっていくことが世界平和に繋がるという考え方に深く共感し、ICUの美しい紅葉に癒されながらまた、明日からしっかり働いていこうというエネルギーをいただいた1日であった。


講演及び質疑応答の様子


「韓国の高等教育の現状」
主 催:大学行政管理学会(JUAM)
共 催:特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)
日 時:2013年11月29日(金) 
場 所:関西学院大学(JAFSA団体理事大学)大阪梅田キャンパス
参加者数:34名


ワークショップスケジュール:
●開会
●<講演1>
  テーマ:「韓国における大学評価の肯定的・否定的効果と大学の発展との相関関係」
  講師:Seunghwan Lee氏(嶺南大学校大学院事務室長、KAIE会長)
●<講演2>
  テーマ:「韓国の大学の現状と将来の姿」
  講師:Se-Hoon Jang氏(韓国カトリック大学専門職大学院事務室長、KAIE副会長)
●質疑応答
●閉会


「韓国の高等教育の現状」

報告者:円谷 恵(国際基督教大学・JAFSA渉外担当理事校)

 今回、大学行政管理学会からのご提案により、東京で開催したJAFSA-KAIE合同セミナーに続いて、大阪でもKAIEとのワークショップを開催することができたことは、JAFSAにとってもおそらくKAIEの参加者にとっても大変意義深いことであったと考える。

 まず、KAIE会長のSeunghwan Lee氏による最初の講演は「韓国の大学の現状と将来の姿」についてであった。最初に韓国の大学が歴史的にどのように数を増やしてきたか、また学齢人口が今後どのように推移するかが紹介されたが、まさに日本と同じ道をたどっているということを認識することができた。しかし、それに対応する政策においては日韓ではかなり違うことも分かった。

 また、現在課題とされていることの中には、1)学長の選出方法の変更、2)学生の就職率についての政府による評価、3)大学評価による財政支援および制限、など、現在日本でも中教審などで議論されている項目も含まれていること、しかし既に日本の先を行く急進的な政策が打ち出されていることも知った。 特に3番目の評価と財政制限ということについては、「政府財政支援制限大学」「学資金貸与制限大学」「経営不良大学」というようなランク付けをなされると、授業料引き下げや奨学金支給率の向上、就職率の向上などを達成しないと脱却できないという厳しい施策になっていることが分かった。

 また、今後も大学構造改革を推進する計画があり、絶対評価によって1〜5等級に大学が分類され、1等級の大学は定員枠を自律的に設定できるが、それ以下の等級は強制的に定員を削減させられるというかなりショッキングな内容も報告された。学齢人口の減少を考えれば、理不尽とばかりも言えない政策である。

 次にKAIE副会長のSehoon Jang氏による「韓国における大学評価の肯・否定的効果と大学の発展との相関関係」というこれもまた刺激的な講演を聞いた。最初にそもそも大学とは評価(測定)されなければならないのか?という非常に本質的な問題提起がなされたが、その後は韓国でいかに「測定」「序列化」が進んでいるかという話が続いた。「情報公開」が法律で規定され、評価機関による認証評価が義務づけられているところ、またメディアによる格付けがなされるところなど、日本と全く同じである。しかし、評価の項目を見ると、「遠隔講座の現況」「産学協力親和型の教員、人事運営の現況」「現場中心による実務型教育課程開設の現況」など、かなり実践的かつ細かい評価項目が含まれているところが日本の大学評価とは違っている。また新聞による格付けにおいては『奨学金の支給率』や『歳入に対する寄付金の比率』などの「教育環境」、また『外国人教授の比率』や『英語講座の比率』などの「国際化」、論文数や被引用数などによる「教員研究」、『新入社員採用に選びたい』『寄付したい』『就職率』などの「評判社会進出度」が評価の観点となっているという。

 その後は世界主要国の大学評価の方法が比較され、評価の肯定的側面と否定的側面が検証された。特に、韓国では格付けと序列化が進むことによって質的評価が置き去りにされているのではないかという危惧が表明され、大学が自主的に点検できる評価システムの構築が必要だと結論づけられていた。

 二人の熱の入った講演によって、予定の時間をほとんど使い切ってしまったため、残念ながら質疑の時間は取れなかったが、続く情報交換会でも白熱の議論が続けられ、本当に楽しく有意義な会になったと思う。東京のセミナーも通して感じたことは、本当に日韓で一緒に取り組むべき課題があるということだった。今後も是非、このKAIEとの交流を発展させていきたい。




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