実施報告

報告:KAIE交流プログラム(2014年12月1日 東京)

KAIE(カイエ、Korean Association of International Educators)」は、韓国の国際教育交流団体で、1998年に設立されました。近年目覚しい発展を遂げ、海外でのプレゼンスもますます大きくなっています。
JAFSAとは設立以来交流があり、毎年2月頃に開催される年次大会にはJAFSA訪問団を派遣しています。
(KAIE公式HP) 
(KAIEについてのご紹介、JAFSA HPより) 

今年度は、KAIEよりゲストを招き、東京で日韓交流プログラムを実施いたしました。キャンパス内の国際化としての国際寮開発・運営をテーマに、日韓両国の事情や先進的な取り組みについて、熱心な情報交換、討議が行われました。詳しくは以下の報告をご覧ください。


「大学の国際化を日韓共同で考える: 国際学生寮教育の新しいパラダイム」
-Japan-Korea Dialogue for the internationalization of Universities: New Paradigm in International Residence Education-

主 催:特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)
日 時:2014年12月1日(月)
会場協力:慶應義塾大学(JAFSA団体理事大学)
参加者数:27名


セミナースケジュール:
●開会挨拶 隅田 英子氏 / 慶應義塾大学(JAFSA団体理事大学) 国際連携推進室 事務長
●KAIE訪問団代表挨拶 Mr. Kangyong Timothy CHUNG (鄭 康溶) /Manager, Office of International Affairs, Sogang University(西江大學校)
●Case Study (Japan)
 【ICU】"Education & Dormitories - What the ICU educational dorms are meant to be -"
 松山 龍彦氏 / 国際基督教大学 学生サービス部 主管
 【APU】"AP House – an international Residence Hall bridging cultural differences and embracing diversity"
 Mr. Hann-shiuh HSIUNG (熊 漢旭) / 立命館アジア太平洋大学 スチューデント・オフィス 職員
●Case Study (Korea)
 "Educational Programs at Residence Halls in Korean Universities"
 Ms. Eunhwa SHIN (辛 垠和) / Senior Program Coordinator, Institute of International Cooperation and Education, University of Seoul (ソウル市立大學校)
 Mr. Se-hoon JANG(張 世薰) / Team Head , Cardinal Kim Sou Hwan International Center, The Catholic University of Korea (韓國カトリック大學)
●Panel Discussion
 ファシリテーター:阿部仁 / 一橋大学 国際教育センター 准教授 留学生・海外留学相談室 室長
 パネリスト:国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学、一橋大学より日本人学生2名、外国人学生3名登壇(APUとはネット中継)理事大学)入学部部長
●Closing ceremony



Case Study (Japan)


「大学の国際化を日韓共同で考える: 国際学生寮教育の新しいパラダイム」

報告者:溝口忠憲(日本国際交流振興会理事、JAFSA監事)

 JAFSA-KAIE交流セミナーが慶応義塾大学三田キャンパスに於いて開催された。今回のテーマは留学生受入が増加する両国において国際学生寮の開設が相次ぐ中、とてもタイムリーなトピックスである。
 会場校である慶応義塾大学の隅田英子氏の歓迎の挨拶、KAIE訪問団を代表してSogang University(西江大學校) Kangyong Timothy CHUNG(鄭康溶)氏の挨拶に引続き、日本側のケーススタディ2件の発表があった。

 国際基督教大学(ICU) 松山龍彦氏より「Education & Dormitories - What the ICU educational dorms are meant to be -」と題して、ICUの歴史を交えて教育と学生寮に関する事例報告があった。全人教育を目指したリベラルアーツの学校として、当初から学生寮は大学キャンパスの一部であり、学生寮での生活はICUの教育プログラムの重要な一部であると位置づけてきた。現在9つの学生寮で約530名の学生が混在して入居している。各寮に管理人は置くが、基本学生の自治を重んじ、寮長、副寮長、コミュニティー・アシスタント等を置いて自主的に運営させている。寮における教育とは、個々が積極的に寮社会に係り、結果として大切な社会性を身につけることであると結論づけた。
 続いて、立命館アジア太平洋大学(APU) 熊漢旭氏より「AP House – an International Residence Hall bridging cultural differences and embracing diversity」と題してAPUの事例報告があった。3棟の学生寮に合計1310室有り、61カ国からの学生が混在し、その62%が留学生でまさにグローバル環境が出来ている。自主的に運営する上で、Residential Assistants (RA)の果たす役割がとても重要とのこと。RA達が新入寮生に寮規則を伝える方法として自主制作した「dame dame video」を視聴し、現代風にラップのリズムにのって、寮ではこういう事をしてはダメ、ダメと言う規則を分かりやすく理解できる作品になっていて自由な校風が感じ取れた。RAを中心として寮生活を自主的に運営する事例として参考になったと思う。

 続いて韓国のUniversity of Seoul(ソウル市立大學校) Eunhwa SHIN(辛 垠和)氏よりKyungpook National University, University of Ulsan, University of Seoulの、及びThe Catholic University of Korea(韓國カトリック大學) Se-hoon JANG(張 世薰)氏よりYonsei University(延世大學校)とUniversity of Korea(韓國カトリック大學)の事例報告がなされた。
 豊富に示された事例紹介の中で、主だったものを上げると、延世大学では広大な国際キャンパスに12の全寮制のResidential College (RC)の構築に取組む壮大な計画が報告された。目的の一つに退学者を減らすことが上げられていて文化の違いが見て取れる。ソウル市立大学のResidential College (RC)は規模が小さいながら、RAが中心となってRCプログラムの開発と運営を行っている報告があった。カソリック大学では2011年に寮に入っていた学生が自殺した経緯が有り、2012年から”Forest of Mind”プロジェクトを立ち上げ学生へのカウンセリングサービスの充実に取組んでいる。「兆候チェックリスト(SCL)」を開発し、2014年に国際学生寮入居者全員に調査するなどカウンセリングサービス向上に取組でいる。学生の悩みには、躁鬱、人間関係、家族との葛藤、ストレスなど個人によって様々で、カウンセリングは重要な取組の一つである。

 コーヒーブレイクの後、一橋大学の阿部仁氏をファシリテーターとして、現在RAとして活動しているICU、一橋、APUの学生5名に参加にて貰い、学生寮生活におけるRAの活動の実際を報告してもらった。学生に参加してもらう試みは初めての事で、国際教育の現場の教職員と学生が質疑応答を通じて本音で交流でき有意義であった。阿部氏の見事なファシリーテートで、参加者の間で関心の高い順に質問を選別し、学生からも本音を聞き出せるなど終始活発な意見交換ができていた。最後に投げ掛けられた学生寮の自治に関する質問には学生の受取り方が様々で回答に窮する場面もあり面白かった。
 今回も国際学生寮教育のテーマに学生にも参加して貰うなど有意義なJAFSA-KAIE交流会であった。ただ、日本側の参加者が19名と低調であったのが残念である。セミナー終了後会場を移して情報交換会が行われた。日韓にはまだまだ共通する課題が多く有り、貴重な意見交換、交流の場として、JAFSA-KAIE交流を発展させる必要があると思う。また、より多くの日本の国際教育関係者に参加して貰える工夫や交流会の内容を吟味し改善していくことも必要であると思った。


Case Study (Korea)


学生パネリストを交えたディスカッション

APUとはネット中継しました




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