過去の実施報告

報告:JAFSA中国フォーラム(2014年8月29日、東京)

JAFSA中国フォーラム 実施報告



実施概要


日 時: 2014年8月29日(金)13:00-17:00
会 場: 早稲田大学 早稲田キャンパス
講 師: 寺岡伸章 氏(独立行政法人理化学研究所 北京事務所長、
           独立行政法人日本原子力研究開発機構 評価室長)
     劉 傑 氏(早稲田大学 社会科学総合学術院 教授)
     澤谷敏行氏(関西学院大学 国際連携機構 部長)
参加者: 19名
主 催: 特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)
協 賛: ジェイアイ傷害火災保険株式会社(JAFSA賛助会員)、輪島漆器販売株式会社、株式会社エストリータ


実施報告


報告者:松尾隆(成蹊大学 企画運営部企画運営課 担当課長)

JAFSA中国フォーラムは、中国関連のテーマを取り上げて年一回開催している。今回は、中国の科学技術や日中間の歴史に関する専門家の講演をもとに日中の教育交流において各国ではどの方向に教育が向いているのか、現状認識を新たにするとともに、実務に役立つ内容をも取り上げた。これらの双方を取り上げる目的は、実務に役立つという近視眼的な理解に加えて、長期的で幅広く中国を理解する人材の育成に寄与することにあった。



【寺岡 伸章 氏:講演「中国の科学技術の現状と未来~中国教育の現状」】
・中国の科学技術力はどうかといえば、技術の模倣や世界記録と国威高揚を狙ったものなどが多く、独自に開発したものや実用的・経済的なものはまだ少ない。
・油田開発に力を入れている理由は、中国の石油生産ピークが2006年であったことが背景。
・積極的な原子力戦略。原発建築を進めており、2020年までに50基程度、2030年までには100基程度建築見込である(計画の実効性は低くなったが)。
・国が目標に示した「超高齢化社会の到来前に豊な国になる」には黄信号。国民は「先の見えない不安」を抱いている。
・交流が深まれば深まるほど相手のことがわからない。中国という国とは平常心で付き合うのがよいだろう。

【劉 傑 氏:講演「日中の近代史を振り返る―今後の両国と教育交流にむけて―」】
・両国の間で必要なことは、好きか嫌いかは別にして、お互い「よく知っている人」を作ることが大切だ。中国には知日派を、日本においては知中派を。
・中国の中学、高校の歴史教育は「近現代史」を中心に展開され、教育の現場では「現在」と「近代史」の対話が常に行われている。近代の歴史を理解し、同時に現実を歴史と通じて考える教育をしているが、この点は、日本の中学、高校の教育現場とは異なる。
・ここ10年間における『近代史研究』(中国社会科学院近代史研究所編集の専門誌)に掲載された論文の全キーワードの使用回数ランキングからは、中国近代史研究が、共産党を中心とした革命史から近代化や中華民国史にシフトしつつあることがわかる。
・最近一部の歴史家は革命史観の欠陥を指摘し、中華民国の歴史を正面から取り上げる「中華民国史観」を提案。(そうすると、民国の時代は中華民国が与党となりこの時代の共産党は野党となる。)
・今年は、日清戦争100周年にあたるが、日本ではマスコミでもほとんど取り上げられていない。


【澤谷 敏行氏:講演「中国人の日本留学をめぐって」】 
・経済学や医学など西洋の概念の翻訳語が日本語から中国語に借用されたこれまでの過去から、最近は文化面の日本語が中国で流行しているなどの変化がみられる。中国は科学技術の面では日本にキャッチアップして、分野によっては日本を凌駕しつつある。今後中国の先進技術が日本を追い越せことになれば、中国語から新しい言葉を借用する時代がくるかもしれない。
・日中の小さな摩擦(文化・習慣)や大きな摩擦(歴史認識・政治体制)には、どんな背景があったのか。それは、時間がたってから振り返ってみると、「なんであんなことが」というものもある。
・日本人と中国人の物の考え方や発言の仕方、行動様式の違いを知っておくと、中国人留学生の言動についても納得ができる。
・中国と日本の中学校歴史教科書に記載された日中戦争に関する記述は両国では異なる。


【結語】
冷却している二国間であるが、相互理解のために相手を知ることが大切である。理解と誤解の往復運動を繰り返していくことで、ゆっくりと相互理解が進んでいくのだ、という、澤谷氏の講演のなかにでてきた言葉を借用してフォーラムを締めくくった。






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