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【出展参加報告】NAFSA2022デンバー大会 STUDY in JAPANブース (大阪学院大学)

【出展参加報告】NAFSA2022デンバー大会 STUDY in JAPANブース (大阪学院大学)

NAFSA2022「STUDY in JAPAN (日本合同ブース)」の出展団体より
『大阪学院大学』様に、事前の準備や大会中の活動について
報告書を執筆いただきました。出展の参考事例としてご覧ください。
※『関西大学』様の報告書は《 こちら 》です。

開催期間: 2022年5月31日(火) – 6月3日(金)
場所:  米国・デンバー、Colorado Convention Center in Denver, Colorado

1.大阪学院大学ついて

大阪学院大学は、1940年に創設された関西で最も古い経理学校である関西簿記研究所を起源とした、7つの学部と5つの大学院および短期大学部を有する総合大学である。「教育と学術の研究を通じ、広く一般社会に貢献し、且つ人類の福祉と平和に寄与する視野の広い実践的な人材の育成」を建学の精神とし、約5,800人の学生が学んでいる。
2022年7月時点で、世界27の国と地域の66大学と提携を結んでおり、内62大学と学生交換の協定を締結している。本学国際センターは主に派遣・受入れの交換留学と短期研修を担当している。パンデミックの影響でこの2年間は対面での派遣も受入れも中止となっていたが、2022年度より順次プログラムを再開している。

本国際センターのNAFSA年次総会へのブース参加は10回を超える。20年前までは10校のみだった提携大学の数が現在では60を超えるまでになったのは、ひとえにNAFSA年次総会等の国際会議をうまく活用し、その時々の状況に合わせて目標設定をしてきたからからだと言える。

Opening Celebration (NAFSA2022)
Opening Celebration (NAFSA2022)

2.2022年のNAFSA年次総会参加について

当初本学はパンデミックの影響を鑑み、2022年のNAFSA年次総会への参加は予定していなかったが、こんな時期だからこそ他国の大学がどのように現状に対応しているのかを学ぶまたとない機会だとする本学の積極的な姿勢から参加が実現した。
受入れ担当の国際センター助教と派遣担当の国際センター課員の2名が参加し、これまでと同様に既存の提携大学との意見交換、新たな提携大学の開拓に加え、オンラインプログラムを組み入れた新たな交流の機会を構築することを目標とした。

Expo会場のブースでのミーティング後 (NAFSA2022)
Expo会場のブースでのミーティング後 (NAFSA2022)

絶え間なく続く30分刻みのミーティングの合間を縫って、さまざまなセッションやポスタープレゼンテーションに参加することもできた。
また、年次総会後は、この2名で手分けをしてカナダの提携大学や短期研修先となっている語学学校への訪問も行った。

3.NAFSA年次総会に参加する利点について

一番の利点は、提携大学との学生交換プログラムのメンテナンスができるということだ。
提携大学の担当者とそれぞれのプログラムについて直接確認し合い、さらに新たな交流プログラムについて共に考える貴重な場となる。今回もパンデミックで実際の学生派遣と受入れができなかった期間を通して、それぞれがどのように対応したかを学び合い、またパンデミックを新たな機会とみなし、今後オンラインでのプログラムをどう交換留学や短期研修に組み込んでいくか相談することができた。

Expo会場のブースでのミーティング後 (NAFSA2022)
Expo会場のブースでのミーティング後 (NAFSA2022)

また、交換留学生数のバランスが崩れている提携大学の担当者とは、関係を継続するための方策をじっくりと話し合う機会にもなった。もちろん、オンラインでのミーティングで話し合うことも可能だと思うが、今回改めて対面でのミーティングの重要性を肌で感じた。

次に、海外の大学がどんな留学プログラムを提供しているか、またどんな留学プログラムに学生を派遣させたいと思っているかを知ることができる。
今回の年次総会では、多くの大学(特にスペイン、イタリアと韓国の大学)から新規提携を見越してミーティングの要請があった。最終的に協定締結に至るかどうかはわからないが、それらの大学とのミーティングを通して、本学が実施してきた交換留学プログラムの改善点が明らかになり、またどのように本学の学生を育成していくべきかについて新たな方向性を考えるヒントを得ることができた。

また、世界レベルのセッションやポスタープレゼンテーションに参加することができる点も大きな利点である。
一例だが、パンデミックの影響で対面での交流が途絶えた中、本センターでは国際交流に興味を持つ学生が自ら考えて活動する学生団体(Club KC)を立ち上げた。今回、同じような活動を実施する海外の大学のセッションやポスタープレゼンテーションに参加し、Club KCの発展に向けて、新たなアイデアや改善点を見出すことができた。

さらに、それぞれのセッションやポスタープレゼンテーションの内容の深さは言うまでもないが、発表の仕方や視覚効果の活用方法等についても多くの学びがあった。国際教育に携わる教職員にとって、NAFSA年次総会でのセッション等への参加は絶好のFD・SDといえる。

セッション風景 (NAFSA2022)
セッション風景 (NAFSA2022)

4.NAFSA年次総会参加にあたっての注意点

何を目標として参加するのか、参加者と大学が事前にしっかりと確認しておくことが大切だ。APAIEやEAIEと比べると開催期間は長いものの、NAFSA年次総会は一旦始まるとあっという間に時間が過ぎていく。気が付くと、何を“take home value”として設定していたのかがわからなくなり、結果大学に何の利益ももたらさないこともあり得る。新規提携大学の開拓が目標であればどのエリアに焦点を当てるのか、既存の提携大学とミーティングをするのであれば、どんな問題点の解決を目指すのか、といった具体的な目標設定をすることが重要だ。

Expo会場外での提携大学とのミーティング後 (NAFSA2022)
Expo会場外での提携大学とのミーティング後 (NAFSA2022)

目標の達成を目指して、事前に綿密なスケジューリングをすることも不可欠だ。年次総会に参加する提携大学やその他の大学とのミーティングのスケジューリングをするが、その際誰がどのミーティングに入るのかに加えて、セッションやポスタープレゼンテーションに参加できるように時間調整も必要となる。
また、シェアブースで参加する場合、ブース時間外のミーティングが効率的に行えるように、なるべく準備日となる月曜日にブース会場を訪れ、ミーティングに適した場所を探しておくことも良いと思う。

ブースに持ち込む資料の種類と量を工夫することも大切だ。重くてかさばりがちな大学カタログやプログラム概要冊子は、持ち込む方も持ち帰る方も大変だ。最終日の会場で、カタログや冊子で山積みとなったゴミ箱を目にしたことがある方も多いのではないだろうか。

本学は、重要事項(学期、授業の簡単な概要、ハウジング情報、費用、参加資格の簡単な説明等)のみをまとめた簡単な資料を用意し、後日メールで必要情報のリンクを伝えることにしている(もちろん、数多くのプログラムを実施している大学であれば、それでは不十分かもしれないので、あくまで本学の例)。仮に足りなくなった場合も、ページ数の少ない資料であれば、会場のビジネスセンターでコピーをすることができる。

大阪学院大学ブース (NAFSA2022)
大阪学院大学ブース (NAFSA2022)

年次総会後のフォローアップも大切だ。参加者が協定締結等に関しての決断を下す立場にない場合、NAFSA等の年次総会でのミーティングを行っただけで、すぐ提携に向けての話を進めることは難しい。帰国後にそれぞれの大学内でコンセンサスを取り、オンラインミーティングを実施して、プログラム内容の詳細確認や提携内容を詰めることをお勧めする。
また、ヨーロッパやアジアの大学については、EAIEやAPAIEで再度ミーティングを行ったり、年次総会前後にキャンパスを訪問したりするという流れも考えられる。また提携大学とのミーティングにおいても、30分という限られた時間で全ての問題点への解決策を導き出すことは難しいだろう。

5.2022年のNAFSA年次総会に参加しての所感

これまでのNAFSA年次総会では、「金のなる木」である英語の語学短期研修をぐいぐいと宣伝してくる英語圏の大学担当者がブースを訪れるという印象があったが、今回は、主にヨーロッパの大学から「日本で学びたいという学生が多いので、ぜひ提携を結びたい」という声を聞くことが多かった。中国や韓国が国としてブース出展をしていなかったことや円安が進んでいるという要因はあったかもしれないが、日本の大学としてはこの状況は追い風で、今こそチャンスだと感じた。

その一方、本学の交換留学プログラムは、そのようなヨーロッパの大学が求める内容を十分に提供できないため、プログラムの改善が必要であることがわかった。
例えば、日本の大学に興味のあるフランスの大学と話をしたところ、日本に交換留学を希望する学生は多いが、英語で開講するビジネス関連授業が一定数なければ派遣は難しいと言われた。そこで、英語でプログラムを提供する他の日本の大学を紹介したところ大変感謝され、「ここまで親切にしてくれる大学であればぜひ提携したかった。大変残念だ。」というコメントをもらったものの、せっかくのチャンスを逃すことになった。
今後、同じことが起きないように、受入れ交換留学プログラムの内容を見直す時期が来ていることを強く感じた。

また、国際教育・交流においては、パンデミックがオンライン活用という新しいトレンドを運んできた。
例えば、これまで本学では実施してこなかったオンラインとオフラインのハイブリッドプログラムの有用性を強く感じた。3~4週間の短期研修のうち、最初の1週間をオンラインで行うことで、その分の滞在費を抑えることができる。また、今ではオンラインの授業を単位認定する大学も多いため、より多様な学生が海外の授業にアクセスできる。さらに、渡航する前に、留学先大学の学生や教員とオンラインでつながることができ、十分な情報を得ることができる。
将来的には、本学でもハイブリッドプログラムを実現させたいと考えている。

最後に、今回の年次総会では、それぞれの国や大学の利益や思惑を超えて、パンデミックを一緒に乗り越えて共に国際教育を盛り上げていこうという一体感を感じることができた。
ミーティングの際は、パンデミックで何が大変だったかということよりも、何をどう工夫して学生の学びを止めなかったかを共有することができ、国を超えた世界規模の国際教育チームの一員であるということを実感した。

Expo会場外での提携大学とのミーティング後 (NAFSA2022)
Expo会場外での提携大学とのミーティング後 (NAFSA2022)

思いがけなく参加することができた今回のNAFSA年次総会では、多くの学びと気づきがあった。そして何より、どのような状況においても、新しいことに挑戦することに躊躇することなく、次なるステップに進むスピード感と実行力が今一番求められていると強く思った。このような貴重な機会を与えてくれたJAFSA事務局と本学にあらためて感謝の意を表したい。

報告者:合田有紀
大阪学院大学 国際センター 助教